庭をつくるのイメージ

 庭を作る上で施主の方が最も気にされるのがこの点だと思います。家を建てる際、複数のメーカーや工務店に相見積りを取り、その後インターネットなどで調べてその価格が妥当なのかを検討される方が多数です。家の場合分かり易い単価というものがあり、代表的なのが「坪単価」です。建坪○○円と表され単純に総工費を延床面積で割ったデータで、内装、設備その他諸々が含まれます。実際にはこの坪単価には様々なカラクリが隠れていて、実際の見積りを取ると倍になっていたという話はザラにあります。ここではそうしたカラクリについて話すことはしませんが庭についてもこのような「坪単価」が出てくることがあります。「庭とガレージ合わせて10坪くらいなら大体坪単価は○○円くらい」といった具合です。

 ただし床と壁、内装と電機、水道のような必要不可欠な要素が含まれる建築とは異なり、庭の場合は例えば土のままでいいなら資材としてのコストはゼロであったり、駐車場に屋根が欲しい場合は土間として打設するコンクリートのコストの倍近くになったりと幅が広すぎて単純に庭の面積で割るという算式を適用できるものではありません。


 それでもこの坪単価が庭にも使われる理由は、施主の予算を探るためという業者側の都合に寄っています。本来ならいくらくらいかかるものなのか施主の方が目安に使うべきである坪単価が業者の尺度に使われてしまっては本末転倒です。しかし私も含め大部分の造園業者がそこまでして施主の予算を知りたいのは、予算が明確になれば提案が可能なプランや設計が示し易くなるからです。建築にしても然りですが、造園の見積りは細かい積算の積み重ねで出来上がります。御影石の敷石なら平米当たりでいくらとか、4m程度の木が1本あたりでいくらとか、そういう部分部分の単価は大体把握しているので、あらかじめ予算が分かっていて、更にどこにその予算を割り振るのか施主の方から指示があれば、バランスの取れたデザインで的確な見積りを提示することが可能になります。見積りを取るまで予算は明かさないというのも一つの手ですが、とりあえず数社にまとめて見積りを依頼するより予算とその配分を伝えて”何ができるのか”を打診する方がより具体的な提案に近づくと思います。見方を変えればどんどん見積りが出てくるような業者はその分経費に織り込まれている可能性があります。

「いくらかかるのか?」という話で具体的な金額が全く出てこないのはあまりに不親切なので、よく使われる相場に触れてみたいと思います。まずは外構工費ですが建築業界では建築工費の10%と言われています。外構には境界塀となるブロックとフェンス、犬走りと呼ばれる家の周囲のコンクリートを打設したり砂利を敷設する工事、玄関周りのポーチや階段、門扉とインターフォンとポスト、屋根の有無を問わず駐車場が含まれます。どこにお金をかけるのかによって随分異なるので一概には判断できません。ですが、化粧ブロックで敷地を囲い、既製品のフェンスを取り付け、コンクリート仕上げを中心に部分的にタイル等を貼り、既成品のインターフォンとポストを取り付け、基本的に1台を停める分の屋根無しの駐車場を整備するのであれば10%より数%低くなります。最低限であれば5%程度に抑えることもできます。逆にガレージ等の構造物を設ける場合はそれだけで少なくとも30万円以上が追加で必要になります。いずれにせよ建築工費の10%の予算があれば一般的な外構に比べやや趣向を凝らしたものが出来上がると思われます。またブロック塀とフェンスは高さや長さにもよりますが外構工費の少なくない部分を占めますのでこれを抑えることによって他に予算を回すことも可能です。当然のように含まれるブロックやフェンスについてはまた別に触れていきたいと思います。

 次に庭です。どんな植栽にするのか、テラスやデッキのような構造物は必要なのか、池や流れを設けるのか等、どういった庭にするかで工費は大きく左右されます。国産の全て手打ちの灯籠は一基で50万円するなど、庭というよりそれだけでちょっとした骨董になってしまうものもあるので比較は難しいのですが、敢えて庭の面積と予算の目安を表すと下記のようになります。工事の効率性も関連するため、広さによって庭のグレードをA,B,Cに分けてそれぞれの予算を示しています。グレードという表現もいたって抽象的になりますが、デザイン性、資材(主に石材)の単価、植栽される樹木や下草の種類と数量といった要素がより多く高い順にA,B,Cとしました。

 こういった数字を示すと必ず反発を受けるのですが、一般の方々にとっては庭を作るのにどれくらいの費用がかかるのか検討をつけることさえ難しいのが現状であるため、敢えて目安として提示しています。造園工事は最終段階になるため建築での仕様変更などによって最も予算が圧迫される部分です。建築で予算を使い切ってしまって庭や外構に全く手を付けられなくなってしまった、凝りたかったけれど仕方がないから間に合わせでできるものにしてしまったという例もあります。先程の外構と建築工費だけではなく、庭を含めて全体の予算をいくら見ておけば良いのかを考慮される上での一つのサンプルとして参考にして頂ければ幸いです。

 長い文章にここまで付き合って頂きありがとうございます。造園業者としてウェブページを設けるにあたり一般的な業務の案内と施工例の紹介に留める方が読み易く分かり易いものにはなるとは思います。ですが決して少なくない出費を前提に業者を検討している施主の方にとって、カタログの中から商品を選ぶようなページでは余りに情報が少ないと考え、家を建てるというイベントに重ねて業者として知りうることをお伝えできるように努めたつもりです。まだまだ経験が浅いので説明不足であったり一部誤解を招く表現があるかもしれませんが、今後も有益になる情報を加え、必要であれば修正をしていきたいと思います。またここではどこにどのような庭を作ったら良いのかという実践的な内容が含まれていないために不満に感じられた方もいるかもしれませんが、手法等については今後別のページでご紹介させて頂きたいと思います。

タイトルいくらかけるのか

ホームいい庭をつくる家と庭>3.庭をつくる 3.3.いくらかけるのか

10坪

25坪

50坪

A

B

C

150万円

100万円

300万円

300万円

800万円

600万円

200万円

150万円

75万円

 時代の価値観が変わりライフスタイルも多彩になる中、”庭”に対する関心も高まるというより、むしろ全体としては低くなりつつあることが実感として否定できません。しかし小さいスペースであっても家の周りに緑が欲しいという需要は根強く、何とかして木を植えることはできないのかと相談を持ちかけて下さる方がいらっしゃるのも事実です。一本の木が家に与える印象は小さくありません。春の芽吹きはたくましく、夏には涼しい木陰を作り、秋には紅葉や落葉が家を彩ります。町並みの印象もさることながら、こうした変化は家の中から最も身近に感じることができます。建物がひしめき合うように建てられる町の中で、どんな狭いスペースであっても、そこに自然を再現し居住空間の中に緑を取り入れる術はこの国が千年の昔から工夫し育んできました。新しく建てられる家、既にある庭、お客様の置かれた環境はそれぞれ異なりますが、自然を取り込む余裕は必ずあります。諦めてしまう前に、またそのような状況にならないためにも早い段階で庭を含めた設計を御考慮いただき、新しい生活の中で身近な贅沢を楽しんで頂ければ幸いです。