当然のことですがハウスメーカーや工務店はこれを嫌がるでしょう。できるものなら庭や外構を含め一括工事を請け負いたいものです。しかしながら建築業者にとってそれらは総工事の一部に過ぎず、レイアウトやデザインも工事に極力影響の出ないような効率的なものになりがちです。建物はなるべく道路に近く、自動的に玄関も道路のすぐそば、したがって駐車場もその横にという具合です。しかし全ての決定権は施主にあります。造園業者が口を挟むと目を細められますが、お客である施主の方がおっしゃることに従わないわけにはいきません。レイアウトに関しては基礎工事等のなるべく早く手を付けたい工事があるために着手の遅れが懸念されますが、家と庭にとっては最も肝要なポイントであり、そこに何十年と生活されることを考えればこの期間は僅かなものです。裏を返せばここで大体の配置が把握できればその後の工事に出戻りが生じることなく建築と庭について一貫した工事が可能になります。上下水道、ガスの配管、電気関係の配線などは土の中に入ってしまえば見えなくなりますが、庭を作る際にこれらが障害となって設計の変更を余儀なくされることもあります。意匠的に何の意図もない配管、配線に意匠性の強い庭や外構が影響されるようでは余りに不本意です。また建築業者と直接契約関係のない造園業者が現場に出入りすることにより工事を第三者の目から監視できるというメリットもあります。内装や設備といったものは難しくなりますが、少なくとも家周りや庭の関係する箇所については厳しい目を持っているつもりです。仮設として敷かれた砂利や砕石がそのままに埋め戻されていないか。客土に本来なら廃棄されるべきような土を使っていないか。排水は考慮されているか。適切な土留めは為されているか、といった点です。これらは仕上がり時に見えづらく、直接的な不利益がすぐには生じにくいことから黙殺されがちです。しかしそこに植えられる樹木の将来や客土の保持にとっては大きな問題になります。施主の方が毎日現場を確認することは困難で、定期的に点検される際も家の中だけに目を向ける傾向にあります。そこに造園業者という家周りに関しても注意を払う目があるのは効果的で実際に心強いといった感想を頂くこともあります。
以上のことをまとめると、
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1.残された消去法ではない自由度の高い庭や外構を設計し
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2.建築と庭が互いに干渉することのない工事を進め
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3.どうしても後回しにされ場当たり的な扱いをされてしまう家周りの対処を監視するために極力早い段階、出来れば設計段階で造園業者を見つけて大まかなイメージを共有し
4. 工事中にも現場に呼び出して相談と検討を繰り返していく
これらのポイントを一つでも多く満たしていくことが理想のカタチです。