庭をつくるのイメージ

 次に庭作りをどのように進めていくのか、実際の工事そのものについてというより、ここでは設計段階を中心に話していきたいと思います。庭を作ると言っても想定されるケースは数種類ありますが、新しく造成された更地であっても、建て替え時などある程度樹木の散在する土地や既に存在する庭を改修する際でも、余程広大な土地でなければ家より先に庭を手掛けることはないでしょう。特に家を新築する場合、施主の方は建物のことで頭がいっぱいで庭が好きな方であってもまずは家を建ててからというスタンスになるのが普通だと思います。ですがここで一度立ち止まって全体を見回して頂き、庭との関連を一部分でも構わないので考慮されることは敷地全体としてのまとまりに大きな影響を与えることになります。

 全く緑を取り入れるつもりがないのであればあまり関係はありませんが、庭を作りたい、庭を作るほどの余裕はないけれど少しでも木を植えたい、下草や花草を育てるスペースを確保したい場合は特に重要になります。ハウスメーカーや建築士にとってもやはりハコモノが最優先のため庭やガレージといったものはどうしても後回しになり、先に間取りや設備の仕様決めをどんどん進めがちになってしまいます。しかし家を中からではなく外から眺めた場合、その家の印象を強く左右するのは境界線に最も近い庭やガレージ、アプローチの他にありません。家が建った後に残された土地で出来ることを探すより、まっさらな土地の中で合理的かつ地の利を最大限に活かす家と庭のレイアウトを考える方が圧倒的に自由度は高くなります。家を建てた後に家を動かしたり玄関の位置を変えることはできません。家の引渡しが終わると、長い工事が無事に終わった安心感と達成感で施主の方にとってはスッと肩の荷が下りる思いでしょう。しかしそこから始まる庭や外構の工事によって、建てられた家はグッと引き立てられてきます。建築工事中に道路や家の中から外を眺めて、ここに緑があったら涼しくなるとか、これでは玄関が丸見えになってしまうから何かで少し目隠しをしたいとか、中庭を坪庭のようにするために石が欲しいとか、そういった家の設計段階では頭になかったアイデアが浮かんでくると思います。その時によりたくさんのアイデアを試す余地を残す、なるべく物理的な制約を離れた”あそび”を残すためには早い段階で造園業者を巻き込むことが重要になります。

 当然のことですがハウスメーカーや工務店はこれを嫌がるでしょう。できるものなら庭や外構を含め一括工事を請け負いたいものです。しかしながら建築業者にとってそれらは総工事の一部に過ぎず、レイアウトやデザインも工事に極力影響の出ないような効率的なものになりがちです。建物はなるべく道路に近く、自動的に玄関も道路のすぐそば、したがって駐車場もその横にという具合です。しかし全ての決定権は施主にあります。造園業者が口を挟むと目を細められますが、お客である施主の方がおっしゃることに従わないわけにはいきません。レイアウトに関しては基礎工事等のなるべく早く手を付けたい工事があるために着手の遅れが懸念されますが、家と庭にとっては最も肝要なポイントであり、そこに何十年と生活されることを考えればこの期間は僅かなものです。裏を返せばここで大体の配置が把握できればその後の工事に出戻りが生じることなく建築と庭について一貫した工事が可能になります。上下水道、ガスの配管、電気関係の配線などは土の中に入ってしまえば見えなくなりますが、庭を作る際にこれらが障害となって設計の変更を余儀なくされることもあります。意匠的に何の意図もない配管、配線に意匠性の強い庭や外構が影響されるようでは余りに不本意です。また建築業者と直接契約関係のない造園業者が現場に出入りすることにより工事を第三者の目から監視できるというメリットもあります。内装や設備といったものは難しくなりますが、少なくとも家周りや庭の関係する箇所については厳しい目を持っているつもりです。仮設として敷かれた砂利や砕石がそのままに埋め戻されていないか。客土に本来なら廃棄されるべきような土を使っていないか。排水は考慮されているか。適切な土留めは為されているか、といった点です。これらは仕上がり時に見えづらく、直接的な不利益がすぐには生じにくいことから黙殺されがちです。しかしそこに植えられる樹木の将来や客土の保持にとっては大きな問題になります。施主の方が毎日現場を確認することは困難で、定期的に点検される際も家の中だけに目を向ける傾向にあります。そこに造園業者という家周りに関しても注意を払う目があるのは効果的で実際に心強いといった感想を頂くこともあります。


以上のことをまとめると、


  1. 1.残された消去法ではない自由度の高い庭や外構を設計し


  1. 2.建築と庭が互いに干渉することのない工事を進め


  1. 3.どうしても後回しにされ場当たり的な扱いをされてしまう家周りの対処を監視するために極力早い段階、出来れば設計段階で造園業者を見つけて大まかなイメージを共有し


4. 工事中にも現場に呼び出して相談と検討を繰り返していく


これらのポイントを一つでも多く満たしていくことが理想のカタチです。

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