庭をつくるのイメージ

 昔と違って、今では様々な建材や造園資材が大型のホームセンターで手に入るようになりました。ホームセンターで売られていないものや少し大きな木であってもインターネットで注文ができるので、ちょっとした花壇や舗道、植栽であれば素人の方でも週末のDIYで立派なものができます。下草や花を中心とした寄せ植えのようなものに関してはプロ顔負けの方もいます。造園工事の中でも木を植えたり下草や宿根草で庭を埋めていくのは仕上げ段階の行程にあたり、殺風景であった敷地がどんどん緑で彩られていくのは心地よいものです。植物に少しでも興味のある方であれば業者ではなく是非施主自ら行っていただければ1年を通して楽しめる趣味にもなると思います。時間と手間に余裕があれば庭は全てそこに住まわれる方が作ることがベストであるとさえ思います。

 ただしそれには二つの障害があります。一つはそうなってしまうと庭を稼業とする私の生計が立たないこと(笑)。もう一つは素人の方が庭を作る際にぶつかる限界です。限界に直面する場面を順を追って見た場合、まずは調達の段階でぶつかります。コンクリート製品であればホームセンターもプロ用の建材屋も大して差はありませんが、これが天然の石となった場合ホームセンターで手に入るものは僅かです。貼る石なのか積む石なのか景石なのかをその用途によって、明るい石なのか重厚な風合いの石なのかをその景色によって、造園業者は複数の石屋と情報を交換しながら最適な石を選び出します。樹木や下草にしても然りで、育てている樹種や仕立て方が生産農家によってそれぞれ異なります。常緑樹はあの農家、雑木ならこの農家と使い分けて仕入れます。おいしい料理を作るにはどうしてもそれなりの食材を揃える必要があるのと同じように、造園資材についてもしっかり”馴染む”材料を調達できる仕入れ先を確保していることが造園業者の強みです。


 次の限界は運搬と施工面においてです。庭を作る際にはどうしても大量の資材や大型の資材を運搬する必要が生じます。土の状態が悪ければ可能な限り水はけの良い植栽に適した土に入れ替えることもあります。植栽についても全て苗木では貧弱で将来的にも変化に乏しくなってしまいます。景色を締めるためにもある程度大きな木を植えた方が好ましく、それらを運搬するにはトラックが必要です。施工においてもただ石を敷くのではなく、水が溜まったりガタついたりしないように砕石を敷いてから機械を用いて転圧したり相当量のセメントを使用したりします。こういった行程は完成後には見えなくなってしまうのですが、地味な割に工事の大部分を占めることもあり、施工において一般家庭にはない道具や機械が使われます。DIYの場合こうした行程を飛ばした施工が多く見られます。DIYである限りそれで十分と言われてしまえばそれまでですが、完成度と将来起こりうる不具合を考えると手を抜くべき工程ではありません。


 こうした限界があるからと言って手作りの庭を否定的に捉えているわけではありません。庭を構成する部分によってプロに任せた方が良い箇所と施主の方の嗜好に合わせて自ら手を付けられる箇所があり、両者が分担して庭を作っていくことが理想の庭作りであると考えます。例えるなら造園業者が骨格を組み立て主要な肉付けを行い、施主の方がその上に色を付けていく感じです。なるべくご自分で庭を整備していきたいといった場合にはこうした二人三脚の取り組みが効果的でしょう。

タイトル手作り

ホームいい庭をつくる家と庭>3.庭をつくる 3.1.庭をつくる 3.1.どこに頼むのか 3.1.3.手作り