庭をつくるのイメージ

 それではようやく庭づくりです。まず前述の「家をたてる」にならってどこに頼むのかを考えてみます。


1.ハウスメーカー

2.造園業者

3.手作り

 一昔前までは造園業者に依頼するのが一般的でしたが、現在ではハウスメーカーに依頼するのが最も一般的になっています。この変化の理由は二つあります。


 一つは住宅のパッケージ化が進みハウスメーカーの力が大きくなったことです。町の商店が大きなスーパーに呑まれていることと同じ現象が住宅にも見られ、家と庭を分けずに一括してハウスメーカーが手掛けることが普通になりました。家と庭をそれぞれ別の会社または業者に依頼した場合、必然的に施主は両者の間に入ることになり、打ち合わせや見積り等を別々に行わなくてはなりません。新居を建てる方はちょうど働き盛りであったりお子様がまだ小さかったりと忙しく、新居に対する思い入れは強いもののあまり時間を割けないケースがほとんどです。この際単純に窓口がハウスメーカー一本だと効率的で、また1社に任せた方が費用も抑えられると考えられます。それに大手が多いハウスメーカーに比べ造園業者、特に個人邸を主に手がける業者は小規模かつ地域密着型で電話帳などで調べてみてもゴマンとあり、その中から施主の嗜好に合った会社を見つけ出すのは困難なため、ハウスメーカーと仕事をしている業者に委ねる方が無難であると判断するのも自然な成り行きです。


 もう一つは庭そのものの変化です。家の南面に大きく土地を開け、そこに好きな樹木を植えたり石を据えたりという庭はかつての主流でした。しかし今では住宅用の土地自体が狭くなり、建ぺい率いっぱいの設計が好まれ、加えて駐車場の確保が優先されるため庭としてのスペースは随分と小さくなりました。道路から玄関に至るまでのスペースを庭として、その中に駐車場を配置するため地面部分はコンクリートで土間を打ち、余ったわずかな箇所に樹木を1、2本植えるという設計が一般的になりつつあります。ブロック塀やコンクリートの打設を主な仕事にしている会社を外構業者と呼びますが、その仕事の特徴からハウスメーカーとの結びつきが強く、駐車場が広く占める庭なら外溝の延長でそのまま庭も手掛けます。


 それではハウスメーカーが庭も扱う現在の流れは施主にとって最もふさわしいものと言えるのでしょうか?僭越ながら自分の経験を基に判断するならば答えはNOです。ハウスメーカーにとっては建物と庭を同時に完成させることが常識になっており、時にはそれが法的にも必要であるかのような見解を施主に説明することがあります。しかし、それはハウスメーカーの常識であって施主にとっての常識ではありません。住宅の場合、配線配管がすべて整っていないと電気水道が使えず、キッチンやトイレが作りかけでは人は住めませんが、庭の場合は例え更地であっても生活に特に支障はなく、住みながら整備していくという”あそび”が残されています。リビングから見て「この場所に緑が欲しい」であるとか、「水栓はやっぱりこっちにあった方がいい」等々暮らしてみて初めて気付くことも多くあります。建物が建つ前にはなかなか庭の設計を具体的に決められなかったお客様でも、建物が建つと一転してお客様の方からアイデアが次々と出てきたこともありました。カタログの中からモノを選ぶ住宅設備と違い、庭で使われる材料は天然資材がほとんどで組み合わせは無限です。この風景を作っていく愉しみを施主に残さないハウスメーカーの常識には施主側からどんどん疑問をぶつけても構わないと思います。


 次にハウスメーカーに庭を任せた方が経済的であるという誤解についても触れてみます。これは建物についても同じ事が言えますが、実際の工事を行うのは下請け、孫請けの外構業者や造園業者であり、仲介に入っている会社の数だけマージンが乗ります。そして実はこれが無視できる額ではありません。タイルの貼り付けや外壁の塗装というような業界内で平米や坪単価がある程度はっきりしている工事と違い、庭の工事は非常に単価が分かり難いのが現実です。そのため乗せるマージンが他の工事より高く、それでいて複数の業者に相見積りをさせて買い叩き、さらにマージン比率を上げることが横行しています。また住宅本体と違って、ハウスメーカーは庭の工事が独立していることを理解の上で造園業者を施主に紹介し、業者から個人的に謝礼を受け取ることさえあります。いずれにせよハウスメーカーから仕事を請け負う業者に営業力がないことが最大の問題ですが、マージンをはねられた上に価格競争を強いられた業者の工事のクオリティを予想することは難しくありません。ブロックを積んでコンクリートの土間を打つ程度の工事であればそれを専門とする業者が割安に請け負うことも可能ですが、庭の各工事を総合的に捉えた場合、そのマージンの分だけ少し良い資材を使ったり別の工事にコストを向けた方が施主にとっての利益につながると考えます。また住宅と同時に作り上げた方が効率的、経済的と思われる部分だけを(例えば玄関周りやウッドデッキなど)ハウスメーカーに任せるのも一つの手です。

タイトル庭をつくる

ホームいい庭をつくる家と庭>3.庭をつくる 3.1.庭をつくる 3.1.どこに頼むのか 3.1.1.ハウスメーカー